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中世の古都シエナとアッシジ
 

フィレンツエの中華料理店から戻って部屋でくつろいでいると、添乗員の牧野さんから部屋に電話。明日訪れるシエナの町で祭りがあるので、時間があればテレビを見るようにとの伝言。

今回の旅行では、ヴェネツイア訪問の8月15日が「聖母被昇天祭」の当日にあたり、今日16日はシエナの「パリオ」の祭りであった。

毎年7月2日と8月16日は、シエナでは町の中心にあるカンポ広場で、中世の衣装をつけた人々が、裸馬に乗って競馬が催される。パリオとは地区の旗のことで、シエナには17の地区があり、それぞれの地区には、「イーグル」だとか「スコーピオン」だとかの愛称がついている。

「パリオ」の祭りはそれぞれの地区の競争である。競争に使われる裸馬は市の所有で、それぞれの地区に抽選で貸し出される。従ってどの馬に当たるか分からないので、競馬の勝ち負けは時の運である。

シエナの見学の当日、ガイドのカミーラさんから聞いた話であるが、地区の所属は自分が生まれたところをもってなされるということである。だから転居をしても自分の所属する地区は一生変わらない。従って親子でも夫婦であっても、場合によっては家族全員が違う地区に所属することがある。

パリオで優勝した地区は、家の窓から、次のパリオまで自分の地区の旗をかかげることができる。

私達は、そのパリオの翌日にシエナを訪れたので、バンキ(銀行)通りでちょうどその優勝パレードを見学するという恩恵にあずかることができた。優勝した地区の人々は中世の衣装をつけて、古い町並みの街路を、パリオをかかげて楽隊と一緒に行進して回るのである。

そのパリオの興奮の余韻が残るカンポ広場を見学し、娘とエスプレッソを味わう。

カンポ広場は擂り鉢状をしており、中央にはプッブリコ宮殿にあるガイアの噴水のコピーがある。

シエナのドウオモは、シエナで採れる大理石を使用した、白と黒の縞模様の美しい聖堂である。内部は昨日のパリオの祭りの騒ぎで、埃で汚れているということで中に入ることはできなかった。

シエナは、15世紀後半はシエナ共和国の都市であったが、現在はトスカーナ州に属している。

そのシエナを午前中見学して、午後にはかつての教皇領、現在はウンブリア州に属する清貧の聖者フランチェスコの町、オリーブの丘の上にあるアッシジへと向かう。

アッシジに着いてまず、コムーネ広場の近くの古風な感じのレストラン、“TAVERNA DELLARCO”で昼食。

ギリシアやスペインではレストランのことをタベルナというが、ここでもタベルナという言葉が使われていて面白い。レストランは石畳の坂道の途中にあり、坂道から見下ろす風景が古色蒼然とした風情で何ともいえない。

アッシジは1997年に大きな地震があった。その傷跡は今も少し留めているが、大方は復興されている。

ガイドのシモーネさんの案内で、聖フランチェスコ教会を見学。内部にはジョットの描いた有名な「小鳥に説教する聖フランチェスコ」をはじめとして、彼の生涯のエピソードが28場面にフレスコ画で描かれている。教会の地下には聖フランチェスコの墓がある。

シエナもアッシジも13世紀の風情を残している感じで、いかにも中世の町という気がする。ミラノやヴェネツイア、ローマなどとは趣を異にする。

アッシジの昼下がりも、乾いた暑さで、それはピレネーを越えたスペインの風土を感じさせた。

古都の風情を満喫して、アッシジから約2時間かけ、ローマの北40キロ、フィアノロマーノにあるホテル、ホリデイ・インへ。

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