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ヌオーヴォ城を背後にしたベヴェレッロ港から、8時半発の水中翼船でカプリ島へ。所要時間およそ40分。

デッキから、次第に遠ざかっていくナポリの市街とヴェスヴィオ火山の風景を惜しんだ後は、あとは海、海、海。

カプリ島が近づくにつれ、その断崖のある風景に魅せられる。断崖の頂上の方に観光バスが上っていくのが小さく見える。青い空、青い海、灰褐色の剥き出しの断崖と木々の緑、そして建物の白のコントラストがまぶしい。

マリーナ・グランデに到着すると、今日のガイド、アントーニオとその息子フランチェスコが出迎え。なにごとも人脈がものを言うこの国の就職事情。一番の職業は親の仕事を引き継ぐこと。観光国イタリアでは観光ガイドは魅力ある職業の一つでもあるのだろう。父親が教師であり、師匠でもある。

カプリ島に着くと、今日の、というより、このツアーのハイライトの一つでもある「青の洞窟」の見学のため、専用ボートに乗り換え。牧野さんの話では、天気がいいからといって、この「青の洞窟」の見学ができるとは限らないそうである。その時になってみなければ分からないということである。しかしながら、牧野さんがこれまで一緒に来たツアーでは100パーセントOKであったということで、その記録を壊さないようにと願っておられた。

専用ボートに乗り換え、マリーナ・グランデから「青の洞窟」までの海面は、鉛を溶かしたような鈍い藍色で重々しさを感じさせる。小波さえも瓦のようなウロコが重なり合っているようで、どっぺりとした重力を感じる。

 「青の洞窟」の前に近づくと、今度は洞窟に入るために、2,3人乗りのボートに乗り換える。洞窟のまわりには、すでにその小舟が何艘も波に揺られて順番を待っている。

天気がよくても必ずしも「青の洞窟」の見学ができない理由がやっとわかった。洞窟の入り口が狭く、ボート1艘がやっと通れるだけの大きさで、その高さは、入り口を潜り抜ける間はボートに身体を擦り付けるようにして臥せっていなければならない。従って少しでも波が高いと、入り口を通れない。船頭さんも、その波のあい間を伺ってボートを洞窟に乗り入れる。チップをはずむと洞窟内で船頭さんが歌を歌ってくれることもあるという。

身体を伏せているので、洞窟の入り口を通過する時は一瞬何も見えない。

洞窟内に入ると、驚嘆のブルーに目を覚まされる。太陽光線の魔術で、海の色が宝石のような輝きを示す。言葉では月並みな表現で、筆舌につくし難しとしか言いようがない。この魅惑の驚嘆は、見た人でなければ共有できないものだろう。

洞窟内は以外と広く、チップのせいでもないだろうが、船頭さんたちは思い思いに歌を楽しんで歌っており、その声がまた洞窟内に反響して、魅惑の魅力を強めてくれる。

時間にして数分の間であるが、時間とは反比例して、たっぷりとその魅力を惜しみながら洞窟を後にする。

「青の洞窟」の見学をして再びマリーナ・グランデに戻り、今度は2台のミニバスに分乗して、水中翼船から見上げた断崖の上にあるアナカプリへと向かう。

昼食は、緑の木立に囲まれた小道を通り抜けた所にあるレストラン“VEDETTE”。カンパーニア地方特産のワイン、「キリストの涙」の赤ワインを味わう。

牧野さんの「青の洞窟」見学の記録更新も無事達成し、再び水中翼船でカプリ島を後にする。

ナポリの町とも別れを告げ、一路ツアー最後の行程であるローマへと向かう。

ナポリからローマまでは約230キロ。途中ローマの旧道「アッピア街道」を車窓から眺め、夕刻ローマ市郊外にあるシェラトン・ローマに到着。

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