2014英国観劇旅行
 
  No. 2 Antony and Cleopatra 『アントニーとクレオパトラ』     No. 2014-33-02
 

舞台では開演前から饗宴の様子が演じられていて、開演とともに饗宴に興じていた者たち全員が退場し、入れ替わりにファイローとディミートリアスが登場してくる。 
続いて胸をはだけてだらしなく腹を出したアントニーと、クレオパトラなどが登場。 
愛の度合いを尋ねるイヴ・ベスト(Eve Best)演じるクレオパトラの一連の台詞がよく聞き取れなかったが、全般を通して彼女の台詞は聴きとりにくかったことで、台詞を通して感じられる豪華絢爛さのイメージの喚起に欠けた。
ネイティヴの人にも聴き取れなかったという話を聞いたので、自分のヒアリング力だけの問題でもなかったようだ。 
今回の観劇演目の中では最も期待した作品の一つであったが、期待とは反比例で、前日観た『るつぼ』の印象度が強かっただけにその反動での物足りなさを感じた。 
ローマ側(ローマ軍)とエジプト側(特に女性群)との衣裳が黒と白という対比になっていて、ローマ側の軍人の衣裳はエリザベス朝の襟カラ−をつけているのに対し、クレオパトラとその侍女たちの衣裳は白一色の清楚さはあっても華麗さに欠けていて舞台としての物足りなさを感じた。
イヴ・ベストのクレオパトラが台詞力の不足(?)をカバーするかのように土間席の観客に手を指し出して観客の受けを待つかのようにしていたのは、個人的にはあまり感心しない所作であった。 
イヴ・ベストは、グローブ座では『マクベス』を演出してクベス夫人を演じ、『から騒ぎ』でベアトリスを演じたことがプロファイルで紹介されているが、あまり期待できるものではなかったのではないかと思いたくなる。 
舞台上の工夫として目立ったのは、アントニーとオクタヴィアス・シーザーの戦いで、アントニーが支配する版図の地図を描いた垂れ幕がホリゾントとして舞台奥一面に拡げられて下げられており、アントニーが敗北するとともにその垂れ幕が切って落とされることで視覚的な効果を感じた。 
黄金の鷲の翼が広がる玉座に坐したクレオパトラが眠ったような死の姿で終わって、お決まりのダンスで締めとなる。 
上演時間は、休憩20分を挟んで3時間(19:30−22:30)。

 

<私の感激満足度> ★★ 
<キャステイング> 
マーク・アントニー:クライヴ・ウッド(Clive Wood)
オクタヴィアス・シーザー:ジョリオン・コイ(Jolyon Coy)
イノバーバス:フィル・ダニエルズ(Phil Daniels)
クレオパトラ:イヴ・ベスト(Eve Best)

 

(作/ウィリアム・シェイクスピア、演出/ジョナサン・ムンビィ(Jonatahan Munby)、
8月19日(火)夜、シェイクスピア・グローブ座で観劇。
チケット代:39ポンド、プログラム:4ポンド、座席:ギャラリーA列(最前列)15番)

 

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