この作品も現代風に改められている。
中心人物の一人でもっとも重要な登場人物の一人であるヴィットリアの兄フラミネオが男装した女性に置き換えられていて、この物語の人物関係が歪曲されたものになってしまった。
舞台装置はThe Roaring Girlと同じく、ナオミ・ドーソンで、メインの舞台とともに二階建の奥舞台がショールームのようにガラス張りとなっていて、ときにそれが映像のスクリーンとしても使われる。
映像はグロテスクなエロチックさを感じさせた。
開演とともに、ヴィットリアが下着姿で登場し、舞台の前方に置かれた衣装と鬘をそこで身に付けるが、その間、彼女の顔や姿が後部のガラスのショ―・ウィンドーのスクリーンに映し出される。
これが休憩後の2幕目でも同じように繰り返される。
終わりのシーンで印象的だったのは、ジョヴァンニを演じる少年俳優が、ロドヴィーコの死体を足蹴にして微笑しているように見えたところが不敵で不気味さを感じた。
新奇さを狙っているかどうか分からないが、全体的にグロテスクで、エリザベス朝劇としての楽しみを奪っている。
The Roaring Girlといい、このThe White Devilの両作品とも女性の演出家で、しかも両者ともエリザベス朝劇を現代風に変え、音楽を多用しているというのが特徴であった。
日本ではほとんど見ることができない演目なのでもっとまともな(?)演出で見たかった。
見渡すと、珍しく空席が目立った。
上演時間は休憩20分を挟んで2時間50分(19:30−22:20)
<私の感激満足度> ★
<キャステイング>
ヴィットリア:カースティ・ブッシェル(Kirsty Bushell)
フィラミニオ(TextではFramineoとなっているが、ここではFraminioと綴られている):ローラ・エルフィンストーン(Laura Elphinstone)
ブラキアーノ:ディヴィッド・スターゼイカー(David Sturzaker)
モンティセルソ:ディヴィッド・リントール(David Rintoul)
フランシスコ:サイモン・スカーディフィールド(Simon Scardifield) |
(作/ジョン・ウェブスター、演出/マリア・アバーグ(Maria Aberg)、
舞台装置/ナオミ・ドーソン(Naomi Dawson)、
8月22日(金)夜、スワン・シアターにて観劇。
チケット代:35ポンド、プログラム:4ポンド、座席:1階C列47番)
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