2014英国観劇旅行
 
  No.3 Shakespeare in Love 『恋に落ちたシェイクスピア』      No. 2014-33-03
 

映画の印象が強く残っていたので舞台の方は当初それほど期待していなかったが、いい意味での期待外れで、大変面白い舞台を楽しむことができた。 
座席がバルコニー(最上階の3階席)の後列から2番目の席のため、張り出し舞台の手前部分が見えないだけでなく、身を乗り出すようにして見ないと全体が見えず、そうすると後ろの席の人からブーイングされるという状況で、しかも舞台を真上から見下ろす形であったにもかかわらず、内容的には満足感のある舞台であった。
映画の場面を思い出しながら、舞台演出との違いを観るのも楽しかった。 
舞台の始まりは、シェイクスピアがソネットを作ろうとして一生懸命に頭をひねっているが一向にはかどらない。 
傍らにいるマーローがシェイクスピアを援助してやっと詩句が作られていく。 
映画にはなかった『ヴェローナの二紳士』の舞台を観劇する場面にエリザベス女王が早くも登場し、その傍らでヴァイオラが『ヴェローナの二紳士』の台詞の一部をそらんじる。 
シェイクスピアがヴァイオラに恋をささやくバルコニーシーンでは、未完成のソネット18番の詩句を彼女に捧げようとするが続きの詩句が出て来ず、すべてマーローが横からささやくことでソネットが完成されていく。 
その詩をヴァイオラは素晴らしいと称賛するが、シェイクスピアは自分の作品でないだけに自信がない顔をする。
舞台装置のギャラリーは可動式になっていて舞台の奥前後に移動し、ギャラリーの奥と手前での演技の動きに幅広く舞台が使われているのが効果的であった。 
劇中劇の『ヴェローナの二紳士』に登場する犬が、この舞台で大活躍するのも楽しい見ものであった。 
ヴァイオラの婚約者ウェセックスが、恋敵のシェイクスピアを稽古場で襲ってあわやという場面で、この犬がウェセックスに飛びかかって彼を押し倒して危機を救い、観客の拍手喝采を浴びる。 
終わりは、映画とは異なり、シェイクスピアが『十二夜』の執筆に取り掛かるところで、死んだマーローがシェイクスピアの傍らに立ってその作品について尋ねるという趣向で、このマーローが最初にも登場していたので、舞台構成が円環的進行を思わせる終わり方となっていたのが印象深かった。 
上演時間は、途中20分の休憩をはさんで、2時間30分(14:30−17:00)

 

<私の感激満足度> ★★★★  
<キャステイング> 
ティルニー:イアン・バーソロミュー(Ian Bartholomew)
ウィル:トム・ベイトマン(Tom Bateman)
ヴァイオラ:ルーシー・ブリッグス‐オーエン(Lucy Briggs-Owen)
エリザベス女王:アンナ・カートレット(Anna Carteret)
マーロー:ディヴィド・オークス(David Oakes)

 

(映画台本/マーク・ノーマン&トム・ストッパード、
舞台脚本/リー・ホール、演出/デクラン・ドネラン(Declan Donnellan)、
8月20日(水)昼、ノエル・カワード劇場にて観劇、
チケット代:29ポンド、プログラム:4ポンド、座席:バルコニーD列11番)

 

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