あるとき、幼い愛の神が横になって眠りにおち、
その傍らに恋心に火をつける松明を置いた、
純潔を一生守ると誓った妖精たちが
軽やかな足取りでそばにやって来た。一番美しい
妖精がその処女の手に松明を取り上げた、
これまで数多くの真心を温めてきた松明を。
こうして、この情欲の司令官は
眠っている間に、処女の手で武装を解かれた。
彼女はこの松明を近くの冷たい泉に浸して消した。
泉は愛の神の火から永遠に冷めない熱を奪って、
温泉となり、病める人々にとっての
健康回復の療法となった。ところが、恋人の奴隷である私は
治療のためにそこに来たものの、それで分かったことは、
愛の神の火は水を熱するが、水は愛を冷まさない。
【私の鑑賞】
たとえ愛の神キューピッドが眠ろうと、詩人の愛の心は消えない。
ダ―クレディに対する愛の思いを断ち切ることができないことを、153番と154番のソネットを対にして謳っている。