キューピッドが傍らに松明を置いて、眠りこけた。
ダイアナの侍女がこれを好機と見定めて、
すばやく、愛の点火の炎を
近くの谷間の冷たい泉に浸した。
泉は、その愛の神の聖なる炎から
永遠に燃え尽きることのない熱を奪い、
湧き立つ温泉となって、今ではそこで人々が
難病奇病の治療の効果を試す。
だが、私の恋人の眼で愛の神の松明は新たな火を得、
キューピッドは喜び勇んで私の胸に火をつけた。
おかげで私は病にかかり、温泉の助けを求めて、
まっしぐら、あわれ病の訪問者、
でも、治療はかなわず、それもそのはず、私を癒す温泉は、
キューピッドが新たな火種を得た私の恋人の眼にあるのだから。
【私の鑑賞】
一旦は愛すのをやめたと思っても、彼女の視線を浴びるとまたも愛の火がつく。
154番と対になっているソネット。