愛の神は分別が何たるかを知るには幼すぎる、
だが、分別が愛から生まれるということを誰が知らないだろうか。
だから、やさしい顔をして騙す人よ、私の過ちを責めれば、
私が犯した過ちの罪は、やさしいおまえ自身のものだと知れよう。
おまえが私を裏切るので、私も裏切って
私の高貴な魂を貪欲な肉体の欲望に委ねるのだ。
私の魂が私の肉体に言うには、肉体は
愛に勝利すると。肉欲は理性をそれ以上待たず、
おまえの名を聞けば立ち上がり、おまえにまっしぐら、
肉欲の戦利品、獲物に得意満面となる。
肉体はおまえの惨めな従僕となることに満足し、
おまえの情事に加担し、おまえの傍らに倒れる。
私が分別を欠いていると思わないでくれ、私が
彼女を「恋人」と呼び、その愛ゆえに立ち上がって倒れようと。
【私の鑑賞】
赤裸々なまで露骨に肉欲、性欲を表現し、詩人は自制心もなく、理性、分別も放り出す。
詩人は本能のおもむくままに性欲の成就を語る。
精神的な愛より、肉体の愛の勝利を謳っているように見えるが、そこに何か一抹のさみしさを感じる。