ああ、残酷な人よ、私がおまえを愛していないと言えるのか
己の意に反しておまえの味方をしているのに。
おまえのことを思っていないとでもいうのか
暴虐きわまるおまえのために我を忘れている私なのに。
おまえを憎む者を、私は自分の味方だと呼んでいるか。
おまえに眉をひそめる者にへつらっているか。
いや、おまえが私に眉をひそめれば、私は
たちまち悲しみで我が身に恨みを晴らさずにはいられない。
私の中にどんな美点があるというのか
おまえに仕えることを蔑むことを誇りに思うような美点が。
私の最高の美点がおまえの欠点を敬うのは
おまえの眼の動きに支配されているからだ。
だが、愛する人よ、憎み続けよ。おまえの性根はわかった。
おまえは見える人だけを愛す。だが、私は盲目だ。
【私の鑑賞】
詩人は反語的に彼女への愛を繰り返す。
反語でしか語りえない愛は虚しい。
詩人が彼女の欠点に眼をつむるのは、彼女の眼の動きに左右されるからだが、彼女はそんな卑下した詩人を見下す。
詩人は、そんな彼女の態度に性根を据え、開き直ったように見える。