私の恋は熱病のように、やむことなく
病を糧にその思いは募るばかり
病を留める恋の思いを食い物にし
気まぐれで病的な食欲を満たしている
私の恋の病の医者である理性は
処方箋を守らない私に腹を立て
私を見捨てた、それで絶望した私は
医術を拒む欲望は死だと知った
いまや、治療も及ばず、理性も敵わず
絶えない不安で気も狂わんばかり
私の考えることや話すことも狂人のそれと同じ
脈絡もない、虚しいたわごとに過ぎない
おまえを美しいと誓言し、輝くばかりと思ったが
おまえは、地獄のような暗黒、夜の暗闇のようだ
【私の鑑賞】
詩人は断ち難い恋の思いに苦しむ。いまや理性の力も及ばず、その思いを止める術もない。
彼女を輝くばかりの美しさと称賛した詩人も、今では彼女のことを地獄のような暗い存在だとの自らを呪う。
断ち難い恋の病に諺二つ。
「お医者様でも草津の湯でも惚れた病は治りゃせぬ」
「あはれ我が恋の病ぞ、薬なき浮名ばかりを断ち物にして」(「職人尽歌合」)