残酷であっても賢明さを示して、私が
黙って我慢するのを軽蔑して責めないでくれ
さもないと悲しみが私に言葉を与え、言葉が
憐みを乞う私の苦痛の様を語るだろう
愛しい人よ、おまえに分別を教えることができるなら
たとえ愛していなくとも、愛していると言うがいい
死期が迫って気の短くなった病人は
医者から回復の言葉しか聞こうとしないものだ
私が絶望するようなことになれば、気が狂って
その狂気が元でおまえの悪口を言うかもしれない
いまやこの歪曲された世界は邪悪となり
狂気から出た中傷も狂気の耳が信じるところとなる
私が悪口を言わないためにも、おまえが中傷されないためにも
おまえの高慢な心がふらつこうと、眼はまっすぐに向けてくれ
【私の鑑賞】
溺れる者は藁をもつかむ。瀕死の重病人も、一縷の希望を持つ。
詩人も、愛しい人の心がどこに向いていようが、その眼がせめて自分だけを見つめてくれたらと切に願う。