そうして今や彼はあなたのものであり
私自身あなたの意のままとなる抵当であることを認める
私は自分の権利を没収されてもよい、だから私の分身を
いつでも私の慰めとすべく返していただきたい
だがあなたはそうしようとしないし、彼も自由になろうとしない
あなたは貪欲で、彼は情け深いから
彼は私のために証文のようなものを書いたに過ぎないが
その契約に固く縛られているのを知っている
あなたは自分の美という権利書をたてにして
あらゆるものに利子をつける高利貸し
私のために負債者となった友を訴えようとする
そうして私は自分の心ない仕打ちで彼を失う
私は彼を失い、あなたは彼と私を手に入れる
彼がすべてを支払っても、私の身は自由にならない
【私の鑑賞】
詩人は友を自分の心に収監している。
彼女はその詩人の心を監禁しているので、詩人の友も彼女のもの。
だから詩人のことも、詩人の友も彼女の意のまま。
詩人は自分自身という権利書を没収されても構わないから、せめてその慰めとして自分の分身である友を返してほしいと頼む。
彼女が返そうとしないだけでなく、彼も自由になろうとはしない。
元はと言えば詩人が心なくも彼を抵当にしたから。
美を元手にした高利貸しの比喩にこの詩の面白さがある。