シェイクスピアのソネット
 

126 収支決算の時が来た

 

私が愛する少年よ、おまえには

「時の神」の気まぐれな漏刻や、「時」の鎌を止める力がある

おまえは、時が移ろい、美しく成長するにつれ

おまえを愛する者が老いていくのを見せつける

 

破壊を支配する「自然」の女神は

おまえが先に進めば、たえず引き戻す

おまえを破壊から守る「自然」の女神のわざは

「時」をはずかしめ、惨めな時刻を破壊する

 

だが、「自然」の女神の寵児よ、彼女に心を許すな

彼女は自分の宝を引き留めることはできても、永久には守れないのだ

彼女も遅ればせながら清算しなければならない

彼女の清算とはおまえを引き渡すことだ

 

 

【私の鑑賞】

詩人はしばし青年と桃源郷に遊んでいた―

理想の青年を夢想することで時間を忘れ、老いていく時を忘れた。

夢想の中の青年は時間が過ぎていっても老いることなく、その若さと美しさは変わらない。

時が過ぎるほど青年が美しくなる姿は、肖像が若く美しくなるほど、自分の方は醜く老いていくドリアン・グレイの肖像画にも似る。

だが、青年と遊んだ夢想の世界とも今はお別れの時が来た。