シェイクスピアのソネット
 

123 真実一路

 

否、「時」よ、驕るな!私は心変わりなどしない

当代の技術を凝らして建てたというオベリスクも

私にとっては目新しくも、珍しくもない

そんなものは昔の光景の焼き直しに過ぎない

 

ひとの命は短いので、おまえが古いものを

新しいものだと偽って押しつければ称賛もし

前に聞いたことがあると考えるよりは

自分の望み通りに新しく作られたものだと思いたがる

 

おまえの記録も、おまえのことも笑ってすます

過去も現在もものともしない

おまえの記録も、いま見えるものも嘘っぱち

やっつけ仕事でいい加減

 

  生きている限り、こう誓う

  「時」と「死に神」を恐れず、真実一路を貫くと

 

 

【私の鑑賞】

時は移り、時は変化する。

だから、時よ、私までもが変化すると思うな!

当代の技術を尽くして造り上げたオベリスクも、私にとっては珍しくもなんともない。

新しいと思ったことも、昔の焼き直しに過ぎない。

すべて日の下に新しいものはない。

時はいつも急いでばかりいるから、その仕事もいい加減。

私こそは、生きている限り、変わることなく真実を貫こう!

(青年への変わらぬ愛の誓い)