以前に私が書いた詩は嘘だった
これ以上君を愛せないと書いたことは。
けれどもそのときには私には分かっていなかったのだ
燃え盛る炎がその後もいっそう燃え上がるとは。
だが「時」が教えるには、時が引き起こす数多の事件が
誓いの数々を破り、君主の法令を枉げ
神聖な美を汚し、鋭利な意欲をも鈍らせ
固い意志をも流転の道を歩ませるのだ。
ああ、「時」の横暴を恐れて
「君を最高に愛している」と言ったのがなぜ悪かろう
そのときは不安を克服して自信を持ち
現在を最高とし、あとのことは分からないとしていた。
愛の神は幼子。だからそう言ってはならなかったのか
常に成長を続ける愛に対して大人のように言うのは。
【私の鑑賞】
愛は成長する。
愛は完結ではない。今が最高ということは言えない。
だから詩人は自分の書いた詩が嘘であったという。
詩人がそのとき青年を最高に愛していると言ったのは、時の変化を恐れていたから。
時はすべてを変える。だからこそ詩人は今を尊重し、今を最高とした。
だが愛の神は永遠の幼子だから、成長をし続けるのだ。
詩人の青年への思いがやまないばかりか募るばかりであることを謳う。