君と離れていたのは春もたけなわ
彩色鮮やかに着飾った四月の時
あらゆるものに青春の精気が注がれ
憂鬱な顔をした豊耕神サトルヌスも笑っては、一緒になって踊った。
だが小鳥の楽しいさえずりにも
色とりどりの花の甘い香りにも
夏の悦びの物語を語る気にもなれず
萌え出ずる大地から花を摘む気にもなれなかった。
私は白百合の白さを愛でることもなく
薔薇の花の深紅を称えることもなかった
それらはただ香りよく、見目麗しいだけ
君の模造品でしかなく、君こそすべての鑑だった。
季節はいつも冬に思えた。君がいないので
花を君の面影と見ては花と戯れた。
【私の鑑賞】
青年と別れていたのは春の季節だった。
しかし青年の不在の春は、詩人にとっては冬と同じだった。
薫り高く色鮮やかな花を楽しむこともできなければ、摘み採って手にする気にもなれなかった。
それらは青年の模造品でしかなく、青年こそそれらのお手本であった。
青年の不在の間、詩人は花に青年の面影を見てはその花と戯れて時を過ごした。