95 名刀も鈍となる

 

君は恥辱をなんと甘く愛しいものにすることか!

薫り高い薔薇の花に潜む青虫のような恥辱は

まだ蕾のままの君の美の名声を汚すというのに。

ああ、君はなんという甘美に君の罪を潜めることか!

 

君の日々の出来事を告げる舌は

君の戯れ事に好色な説明をつけながらも

非難することはできない。君の名を告げれば、

悪い評判も称賛として祝福されるだけだ。

 

ああ、これらの悪徳はなんと素敵な住まいを手に入れたことか、

悪徳は自分たちの住まいに君を選んだ、

そこでは美というヴェールがあらゆる汚点を覆い、

眼に見えるすべてのものを美と化すのだ。

 

  愛しい人よ、この大いなる特権に気をつけるがいい、

  切っ先鋭い刃も使い道を誤ればなまくらとなる。

 

 

【私の鑑賞】

青年にあっては欠点もまた愛しいものになる。

本来であればその評判を落とす欠点も青年にあっては、かえって称賛されるものとなる。

詩人は形を変えて、見かけと内実の違いを謳う。

どんな名刀も使い道を誤ればその刃先は毀れることを譬えに、詩人は青年の自由気ままな特権に注意を促す。