「君は唯一無比」、この最高の賛辞にまさる
称賛を言うことができるものが他にいようか、
君の美に匹敵する手本が育つ宝庫は
君の囲いの中にしかない。
詩人のやせ細った筆の力では
その主題にわずかな栄光も与えることができない。
しかし君のことを書く詩人は、
「君は君である」と書くだけで、その詩に威厳がつく。
詩人は君の中に書かれたものを写すだけでいい、
自然が美しくこしらえたものを悪くすることはない、
そのような複写は詩人の技量を有名にし、
その文体もいたるところで賛美されるだろう。
君は君の祝福された美貌に呪いを加えることになる、
賛辞を好めば、君への称賛を貶めることになるから。
【私の鑑賞】
詩人は、沈黙こそ最高の賛辞であると謳った後、君は唯一無比の存在であるので、「君は君である」というだけで最高の賛辞であるという。
すべての美の元(賛辞の源)は青年の中に秘蔵されているので、ただそれを模写するだけで、詩人はその詩才を称賛され、賛美され、それは必然的に青年への賛辞となる。
だから青年は、詩人たちの賛辞を望んではならないと戒める。
それは青年の祝福された美を呪われたものにするだけだという。
青年はただそこにいる、それだけで賛辞の的であるから。