どうして私の詩は新しい装飾もなく、
新鮮味や素早い変化に乏しいのか?
どうして私は時流に乗った新しい技法や
新奇な言葉の組み合わせに目を向けないのか?
どうしていつも一つのことばかり、同じことを書き続け、
新しい着想もなじみの衣裳に包むので、
すべての言葉が私の名を告げんばかり、
お里が知れてしまうようなことをするのか?
ああ、愛しい人よ、分かってほしい、私はいつも君のことを書き、
君と君への愛が常に私の詩の主題なのだ。
だから私のできることといえば古い言葉を新しく飾って、
使い古したものを繰り返し使うだけなのだ。
太陽は日々新たにして昔のままであるように、
私の愛もまた常に同じことを語り続けるのだ。
【私の鑑賞】
38番のソネットと59番のソネットを思い出させる。
38番では詩人は詩の主題に欠けることはないと言い、59番では太陽の下に新しいものはないという言葉に反して、青年の新しさを謳っている。
詩人は繰り返し同じことを謳ってきたが、時代の風潮にも乗らず、一人同じ詩法と同じ主題を繰り返しているその理由をここで謳っている。
詩人にとっては、青年と青年への愛が永遠の新しさである。