75 心の葛藤

 

そう、君は私の思いにとって生命の糧であり、

大地にとっての優しい春の雨のようなもの。

君への愛の平穏を求めて葛藤するのは

物惜しみと気前の良さに揺れ動くから。

 

今は持っていることを誇っていても、すぐに

不実な時がその宝を盗んでいくのではないかと心配になる。

今は君と二人きりでいるのを最高としながらも

世間の人たちに私の喜びを見せることができたらと思う。

 

ひとときは君を見ることにすっかり満喫するが、

すぐにまた飢えるように見たくなる、

喜びもなければ、幸福を追うこともない

君からもらったものや、受け取るはずのものを別にすれば。

 

  このように私は日々、満腹したり飢えたりするのだ、

  つまり、すべて食いつくすか、なにもないかだ。

 

 

【私の鑑賞】

詩人は心の矛盾と葛藤している。

青年についての楽しい思いにふけっていても、不実な時が奪い去るのではないかという心配。

青年と二人きりでいる幸せを最高と思いながらも、そのことを他人に見てほしいと思う。

青年を見て満足したと思ってもすぐにまた見たくなる。

青年は詩人にとってのすべて。

詩人の青年に対する愛は、すべてかゼロという矛盾の葛藤に揺れ動いている。