私が死んでもいつまでも私のために嘆いてくれるな
嘆くのは陰鬱な弔いの鐘の音が
世間に告げる間だけでいい、私がこの下劣な世界から
逃れるのは、もっと下劣な蛆虫とともに住むためだ。
いや、君がこの詩を読んだとしても、忘れてくれ
それを書いた手のことは。私は心底君を愛しているので
君の優しい思いからむしろ忘れられたいのだ
君が私のことを思って嘆くくらいなら。
ああ、君がこの詩を見たら、と私は言うが
私が土塊と一緒にされるような時が来ても
私の哀れな名前を口にすらしないでくれ
ただ君の愛を私の生命とともに朽ちさせてくれ。
賢しらしい世間が君の嘆きの原因を探り出し、
私の亡き後、私のことで君を笑いものとしないように。
【私の鑑賞】
詩人の逆説的な皮肉、アイロニーを感じる。
詩人は、自分が死んでも嘆くのは弔いの鐘の音が鳴り響く間だけにしてほしいと言うが、弔鐘は料金次第。(愛する人よ、君は私のために弔鐘のためにいくら払ってくれる?!)
詩人はこの下劣な世の中から喜んで去っていき、蛆虫とともに生きるのだと言う。
詩人は青年を愛しているから自分のことは、死んだ後は忘れてくれと言い、青年を謳った詩のことも忘れてくれと言う。
それは、世間が青年の嘆きの原因を探ってその原因が詩人であると分かって笑いの種にされないようにと思ってのことだと言う。
詩人がそのことを強調すればするほど逆に、青年に詩人のことを忘れないでほしいと願っている気持が伝わってくる。