69 朱に交われば

 

世間の人の目が見る君の外見の姿は

想像力が補うものは何もなく完璧だ。

あらゆる言葉、心からの声が、君に当然のものとして、

真実そのものとして語り、君の敵ですら称賛する。

 

君の外見の美しさはうわべの称賛を受けている。

だが君を称賛する同じその舌が

別の言葉でその称賛を取り消す。

その目が見えるもの以上のものを見ようとして。

 

彼らは君の心の美しさを探り、

君の行いからそれを推し量ろうとする。

下司な人の考えることは(彼らの目は親切に見えても)

君という美しい花に雑草の悪臭をつけることだ。

 

  だが君の匂いが君の外見にふさわしくないのは、

  君が俗人の中で生育するその土壌のせいだ。

 

【私の鑑賞】

外見の美しさに対して心の美しさを問題にしている。

青年の美しさを称賛するのは万人の一致するところである。

だが、称賛するその同じ舌で、青年の行いを忖度する人がいる。

青年の外見の美しさに反するような嫌な臭いがある。

詩人は、その臭いは青年が粗野な人間と交わることによって生じるものだという。

朱に交われば赤くなる、の譬えである。