63 永遠に緑

 

私の愛する人が今の私のように、

「時」の不当な仕打ちにあって擦り切れ、

時間が彼の血の気を奪い、彼の額を

皺の線で満たす、その時に備え、

 

彼の夜明けの若さが老いの険しい夜道を旅する時、

今はすべての美しきものの支配者である彼が

消えて行こうとする、或いはすでに見えなくなり、

彼の青春の宝をひそかに奪っていく。

 

そのような時に備えて、今私が要塞を築くのは

破壊的な老いの残酷な刃に対抗し、

私の愛する人の命を断ち切っても、愛しい人の美しさまでを

記憶から断ち切ることのないようにするため。

 

  彼の美しさをこの黒い文字の中で見られるようにすれば、

  詩が生き続けるかぎり、彼はその中で永遠に緑であり続ける。

 

 

【私の鑑賞】

青年が今の自分と同じように、時の残酷な手によって老い、その美しさも褪せるときに備えて、詩人はその記憶が時の手によって消えないようにするために、彼の美しさを書き留める。そうすることによって、彼が亡くなった後も、この詩が生き続ける限り、彼は永遠に若いままである。

詩人は青年の若さの美を讃えながら、自分の詩が永遠に生き続けると自信を持っている。