波が小石の岸辺に向かって進むように
私たちの時も刻々と終焉に向かって急ぐ。
先に進んだ波と処を変え、
先を競って前へ前へとあくせく進む。
光の大海原に生まれ出た赤ん坊は
よちよち歩きから成長し、成長したあかつきには
邪まな蝕がその栄光に影をさす。
「時」は与えておきながら、与えたものを打ち壊す。
「時」は花の盛りの栄華を刺し貫き
美しい額に畦道を掘り起こす。
自然が生んだ類まれな高潔は食い物にされ、
後に残るは、刈り取りの「時」の大鎌だけ。
だがしかし、希望の未来に私の詩は残る
君の素晴らしさを称え、残酷な「時」の手を逃れ。
【私の鑑賞】
「時」が過ぎゆくのは、波のようなもの。
終わりなく、寄せては返し、寄せては返すが、波は元の波ではない。
自然が産み出した被造物は、時の破壊を免れることはできない。
暗い子宮の中から、明るい太陽の下に生まれ出た赤ん坊は、時の手を借りて、よちよち歩きから成長して、老年にいたる。
「時」は彼に若さと美しさを与えるが、やがては醜い老いがやってくる。
誰ひとり、「時」の残酷な手から逃れることはできない。あとは「死」あるのみ。
しかし、「君」の美しさは、時の残酷な手を逃れて、詩人の詩の中で生き続ける。
かつては青年の美しさを、結婚によって生まれる子孫で永遠に生きると謳ったが、詩人は、今は自分の詩の中でそれが生き続けると謳う。
青年は、詩人の筆になる創造物であり―想像物でもあると思えてくる。