新しいものは何ひとつなく、今あるものは
かつてあったものとすれば、我々の頭脳はどこまで欺かれ、
新しいものを産み出そうと苦労するのは、
二番煎じの過ちを繰り返すことでしかないのか?
ああ、記憶が過去を振り返って
太陽の運行の五百年前に遡り、
古書に君の姿を見出せたらと思う、
心の思いは最初文字で記されたのだから。
昔の人が記録したものを見て
私が驚きを以て書いた君の姿と比較して、
我々が進歩したか、昔の人の方が優れていたか、
あるいは同じことの繰り返しか分かるというものだ。
私は確信している、古の賢者は
今より劣ったものに賛辞を贈ったのだと。
【私の鑑賞】
『伝道の書』には「太陽の下、新しいものは何ひとつない」と書かれているが、それは本当か?詩人はそれに反発する。
もし、太陽の下に新しいものは何ひとつないとしたら、詩人の書く詩も、先人の繰り返しでしかない徒労となる。
本当に新しいものがないのかどうか、五百年前の作品と較べてみればよい。
(五百年という歳月はフェニックスの甦りの年数に相当する)
今の詩が進歩したか、過去の詩が優れているか、それとも今の詩は昔のものの繰り返しか、比較してみるとよい。
詩人は確信している、今の(自分の)詩の方が優れていると。そして過去の詩に書かれた誰よりも「青年」の方が素晴らしいと信じている。
青年にかこつけて実は詩人は自分の詩を語っている。