私は君の奴隷、お呼びがかかるまで
待つこと以外することもない。
私が惜しむべき貴重な時間などまったくなく、
君が命じるまではやるべき務めもない。
私の主人である君を待つための時間なら
それが果てしなく続こうとも愚痴は言うまい。
君が、君の僕に別れを告げたからには
君の不在のつらさも苦痛とは考えまい。
邪推でもって訊ねもすまい、
君がどこにいて、何をしているかなどと探りもすまい。
真面目な奴隷のようにしてじっと待ち、
廻りにいる人たちを君が幸せにしていることを思うだけ。
恋はまことに道化者、君のお望みしだい、
君が何をしようと文句を言わない。
【私の鑑賞】
詩人は青年の心の奴隷。
詩人の時間は青年のためにあり、すべてが青年のための時間。
だから、青年が去った今、永遠に続くと思われる時間も、青年を待つための時間と考えれば苦痛ではなくなる。
青年は自分の処を去ったが、邪推で自らを苦しめるようなことはせず、青年がいる場所では、そこにいる人はなんと幸せであることかだけを考える。
詩人は青年の奴隷であり、恋は道化役。
だから青年が何をしようと、恋は悪く思うことはない。
だが、詩人の言っていることと本心は裏腹である。