王侯の大理石の墓や、金箔で飾られた記念碑も
この力ある詩より長く生きることはない。
君はこの詩の中でさらに光り輝く、
打ち捨てられて、だらしのない時に黒ずむ石碑よりも。
破壊を招く戦争が彫像を覆し、
騒乱が石造りの建物を根こそぎにするとき、
軍神マルスの剣も、戦争の猛火も、
生き生きとした君の追憶の記録を焼き尽くすことはない。
死や、あらゆる忘却という敵に抗い、
君は前進する。君の称賛はいつまでも
後世の人の目にとまり、
この世の終わりまで長らえることだろう。
君が甦る最後の審判の日まで
君はこの詩の中に生き、君を愛する人々の目に住む。
【私の鑑賞】
詩人は、自分が青年のことを詩に書き留めることで青年の記憶が永遠に残る、と詠っているようにみえるが、その実、詩人の書いた詩が永遠の称賛の的として残ることを誇っているかのようである。
32番のソネットで、詩人の詩が時代遅れのものとなるかのような予言をしながら、ここでは自分の詩の不朽不滅を誇っているように思える。