私は幸福の鍵を持った金持ちのように
大事に鍵をかけられた宝に近づくことができる。
金持ちはたまにしかそれを見ないものだ、
いつも見ていれば有難みも薄れるから。
祭りが厳粛でまれであるのもそのため、
長い一年の中でめったにないのは、
貴重な宝石がまばらにしかないのと同じなのだ、
首飾りの中の最高の宝石のように。
君を収める「時」は私の宝石箱、
あるいは、晴れ着を秘蔵する衣装箪笥のようなもの、
特別な機会に特別な祝いをするために
秘蔵していた自慢の品を披露する。
君は幸せ、君の価値は遍く、
得れば悦びとなり、得なくとも、またの希望がある。
【私の鑑賞】
詩人と青年は別離の状態にある。
詩人は自分を金持ちになぞらえ、幸福の鍵でその気になればいつでも会えるという。
しかし貴重のものは、すべて稀にしかないことにある。
だから詩人も青年を「時」の箪笥の中に大切に秘蔵している。
会えれば悦びであるが、会えなくとも次に会う楽しみ、期待があると言って自らを慰める。