52 幸福の鍵

 

私は幸福の鍵を持った金持ちのように

大事に鍵をかけられた宝に近づくことができる。

金持ちはたまにしかそれを見ないものだ、

いつも見ていれば有難みも薄れるから。

 

祭りが厳粛でまれであるのもそのため、

長い一年の中でめったにないのは、

貴重な宝石がまばらにしかないのと同じなのだ、

首飾りの中の最高の宝石のように。

 

君を収める「時」は私の宝石箱、

あるいは、晴れ着を秘蔵する衣装箪笥のようなもの、

特別な機会に特別な祝いをするために

秘蔵していた自慢の品を披露する。

 

  君は幸せ、君の価値は遍く、

  得れば悦びとなり、得なくとも、またの希望がある。

 

 

【私の鑑賞】

詩人と青年は別離の状態にある。

詩人は自分を金持ちになぞらえ、幸福の鍵でその気になればいつでも会えるという。

しかし貴重のものは、すべて稀にしかないことにある。

だから詩人も青年を「時」の箪笥の中に大切に秘蔵している。

会えれば悦びであるが、会えなくとも次に会う楽しみ、期待があると言って自らを慰める。