50 旅路の足取りも重く

 

私の旅路は足取り重く、

私の求めるもの(うんざりする旅の目的)が、

安らぎと休息に語らせる、

「こんなに遠くおまえの友から離れてしまった」と。

 

私を乗せた馬までが、私の悲しみに疲れ果て、

私の重みを担ってのろのろと進む、

その哀れなやつは本能的に感づいているようだ、

乗り手が君から急いで離れるのをいやがっているのを。

 

拍車を血まみれにしても急がせることはできず、

怒りがときどきそいつの皮膚を貫くだけだ、

そいつは悲しげに呻き声を出して応えようとするが、

そいつの脇腹に当たる拍車より、その呻きの方が私にはつらい。

 

  その呻きが私の心に刻む、

  前には悲しみが控え、悦びは去って行くと。

 

 

【私の鑑賞】

青年との別離を旅にたとえるなら、詩人の旅路の足取りは重い。

なぜなら、その一歩一歩が青年との距離を離して行くのだから。

詩人が求める旅の終わりの休息も、青年との距離を感じさせるつらいものでしかない。

そんな主人の気持を察してか、詩人を乗せた馬の足取りも重く、のろのろしている。

いくら急がせようと拍車を当てても、拍車が血にまみれ馬は呻き声をあげるだけで一向に速くはならない。

だが、詩人はなぜ急ぐ必要があるのだろうか?!

それは詩人の別離の決意を強めるためであろう。

だが、行く手には悲しみが控えているだけで、詩人の悦びは過去のものとして後方に去っていく。