その時に備えて、(その時がきたとしての話だが)
私の欠点に君が眉をひそめる時、
君の愛が清算され、
熟慮の上、喚問に応じる時。
君はそ知らぬ振りで通り過ぎ、
太陽と仰ぐ君の目が挨拶もせず、
愛は心変わりし、
分別の理性を働かせる、その時に備えて。
その時に備えて、私はここに砦を築き、
己の身の程をわきまえ、
手を挙げて自分に不利な証言をし、
君の合法性を弁護する。
君は法の力で私をみじめにすることができる、
だから、愛の申し立てなど、私にはできない。
【私の鑑賞】
詩人は青年との決定的決別の時に備え、法律用語まで並べ立てて、青年の愛の喪失に自己弁護する。
青年の愛が詩人から遠ざかったことは確定的であり、その正当性を認める(弁解する)ために、詩人は法的根拠を持ちだしている。
法の裁定で、決定的瞬間が確定するその時に備え、詩人は自分の身の程をわきまえ、その心構えを準備する。
青年の愛が覚め、詩人がみじめな気持になる法的根拠がある限り、詩人はかつての青年の愛を申し立てることなどできないと諦め、嘆く。