48 私の心から君が盗まれる心配

 

私は旅に出る時、どれほど気を使ったことか、

つまらぬもの一つにもしっかりと錠をかけ、

私のものに誰にも触れさせないようにして

盗人の手から安全に守った。

 

だが君は、(私の宝など君と比べれば取るに足りない)

最高の慰めであったのに、今は私の最大の悲しみとなった。

最愛の人であり、唯一の心配の種である君は、

あらゆる俗悪な盗人の餌食として残された。

 

私は君を箱に入れて鍵をかけることをしなかった、

君がいるように感じても、君がいないところ、

私の胸の優しい囲いの中、

そこから君は好き勝手に出入りできる。

 

  そこから君が盗み出されるのでは、と心配だ。

  高価な品を前にすれば正直者も盗み心が働くから。

 

 

【私の鑑賞】

品物は箱に入れて鍵をかけて泥棒から守ることはできる。

しかし、詩人が愛する青年を箱に入れることはできない。

詩人はただ青年を思う気持を自分の胸の内にしまっておくことができるだけである。

心に鍵はかけられない。

青年は詩人の心から自由に出入りできる。

詩人は青年が誰かから奪われることより、青年が誰かほかのものに心を奪われ、心変わりすることを心配しているように思われる。