ほかの二つ、軽い空気と浄めの火は、
私がどこにいようが、二つながら君とともにいる。
一つは私の「思い」、もう一つは私の欲望、
素早い動きでここかと思えばもういない。
これらの敏捷な元素が出かけるのは
君への優しい愛の使者として。
四つの元素からなる私の生命は、二つだけとなって、
憂鬱に押し潰され、死ぬほど沈んでいる。
生命の構成が現状に戻るのは
君のもとからその早飛脚たちが戻ったとき。
彼らはたった今戻ってきて、
君が元気でいると、私を安心させた。
それを聞いて私は悦ぶ、だが、悦びも束の間、
私は彼らを再び送り返し、たちまち悲しくなる。
【私の鑑賞】
私という存在を構成する元素は、肉体を構成する重い土と水であるのに対し、精神(心)をつかさどる元素は、実体のない軽い空気と火である。
ソネット44番に歌われた土と水の元素に続いて、ここでは空気と火に託されて詩人の「思い」と欲望が語られる。
四元素のうち二元素の欠けた詩人の生命は魂の抜け殻でしかない。
詩人は魂の抜け殻となった肉体で、憂鬱に沈んでいる。
空気と火は、早飛脚となって青年の無事な知らせを運んでくるが、すぐさま戻って行ってしまい、詩人は再び心ここにあらずと、悲しみにふけることになる。