45 思いと欲望、空気と火

 

ほかの二つ、軽い空気と浄めの火は、

私がどこにいようが、二つながら君とともにいる。

一つは私の「思い」、もう一つは私の欲望、

素早い動きでここかと思えばもういない。

 

これらの敏捷な元素が出かけるのは

君への優しい愛の使者として。

四つの元素からなる私の生命は、二つだけとなって、

憂鬱に押し潰され、死ぬほど沈んでいる。

 

生命の構成が現状に戻るのは

君のもとからその早飛脚たちが戻ったとき。

彼らはたった今戻ってきて、

君が元気でいると、私を安心させた。

 

  それを聞いて私は悦ぶ、だが、悦びも束の間、

  私は彼らを再び送り返し、たちまち悲しくなる。

 

 

【私の鑑賞】

私という存在を構成する元素は、肉体を構成する重い土と水であるのに対し、精神(心)をつかさどる元素は、実体のない軽い空気と火である。

ソネット44番に歌われた土と水の元素に続いて、ここでは空気と火に託されて詩人の「思い」と欲望が語られる。

四元素のうち二元素の欠けた詩人の生命は魂の抜け殻でしかない。

詩人は魂の抜け殻となった肉体で、憂鬱に沈んでいる。

空気と火は、早飛脚となって青年の無事な知らせを運んでくるが、すぐさま戻って行ってしまい、詩人は再び心ここにあらずと、悲しみにふけることになる。