43 夢でしか会えない君

 

しっかり眼を閉じるとき、そのときこそ最もよく見える、

昼の間は、眼はぼんやりとしか見ていない、

だが、眠れば夢の中で君が見え、

眼は、闇に輝き、闇の明かりに導かれる。

 

すると、君の影が闇を明るく照らし、

君の影の実体が、幸せな光景を結ぶ、

君の照り輝く光が、昼間に姿を出せば、

見えない眼にも、君の影はかくも光り輝く!

 

私の眼はどれほど幸せになることだろう、

昼日中に君を見ることができれば。

真夜中、君の美しい実体のない影が

見えない眼の、深い眠りの中にあるように。

 

  君を見るまでは、昼も夜でしかない、

  夢で君の姿を見れば、夜も昼と輝く。

 

 

【私の鑑賞】

詩人は青年と別れて、会うことはかなわない。

昼間は、なすこともなく、ただぼんやりと過ごすだけ。

だが、夜、眼をつむれば、そこには青年の姿がくっきりと浮かぶ。

青年の影の姿は、夜の闇の中で輝く。

青年の美しい輝きは昼の明るさにも勝る。

夜、こうして青年の影の姿に会えるのだから、昼に実際に会えればどれほど幸せなことか。

青年に会えない昼は、詩人にとって闇の夜でしかない。

だが、夢で青年に会える夜は、詩人にとって真昼と同じ輝きである。