君とともにあり王様気分になった私の心は
君主につきものの病である追従を飲み干すのか
それとも私の眼が真実を語るというのを口実に
君への愛がこのような錬金術を眼に教え
化物や怪物から
君の美しい姿に似せた智天使を作りだし
すべての醜いものを完璧な美しいものとするため
観たものをすばやく眼の光線に集合させるのか?
ああ、最初にあるもの、それは私が眼にする追従
私の偉大な心は王者のごとくそれを飲み干す
私の眼は私の心が喜ぶものをよく知っている
だからその口に合う美酒を調合する。
たとえそれに毒が盛られていようと、罪は軽い
私の眼がそれを好み、最初に毒見をするのだから。
【私の鑑賞】
「痘痕(あばた)も笑窪(えくぼ)」
そんな言葉を思い出す。
詩人は青年と共にいれば気分は王様。その王様につきものの病と言えば、追従。
詩人は悦んでその追従を受け入れる。
心は追従に騙されているようにあるが、最初にそれを受け入れるのはそれを見る眼。
だから心が味わう前に眼が毒見をしてくれているので、追従という美酒を飲む罪も軽減されている。
113番のソネットと並んで眼と心の相克、葛藤を謳っている。