君と別れてからというもの、私の眼は私の心の中にある
私が進むべき道を導くその眼は
その役目を一部果たすが、なかばは見えていない
見ているようで、実は見えていない。
というのも眼は鳥や花の形など
眼がとらえる形象を心に伝えないから。
また心は眼が瞬時に捉えた物にも与れず
視力自体がとらえたものも留めることができない。
最も荒れた光景であろうと、最も穏和な光景であろうと、
最も美しい生き物であろうと、最も醜い生き物であろうと、
山であろうと、海であろうと、昼であろうと、夜であろうと、
鴉であろうと、鳩であろうと、見るものみな、君の姿に変えてしまうのだ。
私の心は君でいっぱい、これ以上余地はない、
だから私の忠実な心は私の視力を欺くのだ。
【私の鑑賞】
詩人は青年と別れてから、眼は上の空。
眼は見ているようで見ていないも同然。
心はいつも青年のことを思い、その思いでいっぱい。
だから見るものすべてが青年に思えてならない。
青年と会えない詩人の心の飢餓を感じさせる。