君が同情の気持で愛してくれれば
私の額に押された悪評の烙印の傷も癒えるというもの。
私に対する良し悪しの世評をなんで気にする必要があろうか
君が私の悪評を庇い、よいところを認めてくれさえすれば。
君は私のすべて。だから私は努めなくてはならない
君の口から出る私の恥や称賛を知るために。
私には君以外には誰もおらず、他の誰に対しても私は生きていないも同然
だから私の鋼鉄のような心を良くも悪くもするのは君次第なのだ。
他人の評価の心配などことごとく深淵の奥底に
投げ捨てたので、私の蛇の聴覚は
批判に対しても追従に対しても耳を塞いでいる。
どのように無視するのかその弁明を聞いてほしい。
君が深く私の思いの中に根をはっているので
君のほかには全世界の人が死んだように思えるのだ。
【私の鑑賞】
「蛇の耳」とは、人の言葉に耳を傾けないことで、故事によれば、蛇の聴覚は非常に鋭く、聞きたくない時には片方の耳を地面にすりつけ、もう一
方の耳を尻尾で塞いで聞こえないようにするという。
詩人は世間の毀誉褒貶など気にしないと言い、その理由として自分にとってはこの世に存在するのは青年一人であるので、詩人は他の誰のことも気にすることはないと語る。
相変わらずアイロニーを感じるのは、詩人は世評を気にしていないと言いながら実はすごく気にしているように見える。