何か書くべきことが頭脳の中にあるというのか
君への忠実な思いが書きつくされていないとでも?
新たに語るべきことや、いま記すべきことが残っていて
私の愛や、君の尊い値打を表現することができるとでも?
何もありはしない、愛しい若者よ。けれども祈祷書を唱えるように
私はまったく同じことを毎日繰り返し語らねばならない
言い古したことも構わず、君は私のものであり、私は君のものであると
私が初めて君の立派な名前を神聖なものとして崇めた時のように。
そうして新しい愛の器に入った永遠(とわ)の愛は
老年の傷害や土に帰すことをものともせず
必然的にやってくる皺にも屈せず
古色蒼然を永遠の近習とする。
最初に育まれた愛の思いを見つけようとすれば
歳月と外見がその死んだ姿を見せつけようとする。
【私の鑑賞】
詩人は繰り返し、繰り返し青年のことについて語ってきて、今や言いたすこともなく、日々祈祷書の同じ文句を唱えるように、同じことを繰り返し言うだけであるという。
詩人の青年への気持は変わらないように見えるが、歳月の推移とともに青年の容貌の変化がさびしく感じられる。
老境の心情を感じさせる詩―