103 君を語るには鏡に映せばよい

 

ああ、私の詩の女神が産み出すものはなんと貧しいことか、

腕前を誇示するのに絶好の機会だというのに、

その対象は素のままの方が

私が余分な称賛を加えるより価値があるとは。

 

これ以上書けないとしても私を責めないでほしい。

君を鏡に映せば、そこに現れる顔は

私が下手に作り上げたものを圧倒し、

私の詩などつまらなく、恥ずかしい思いをさせる。

 

だから元々よかったものをわざわざ修正して

傷つけるような真似をするのは罪悪ではないか。

私が求めている詩はほかならず

君の美徳と才能を語ること以外にはないのだ。

 

  それに君が鏡をのぞけば、私の詩より

  鏡の方がもっともっと君のことを写し出すのだ。

 

 

【私の鑑賞】

詩人が詩を書くことをやめた理由を語る詩が続く。

どうして青年のことを詩に書けなくなったのか、その理由は詩人の書く詩より、青年が鏡を見ればそこに映し出された顔は、詩人が称賛を加える詩をはるかに凌ぎ、書くことができなくなる。

青年の美貌と美徳は、わざわざ詩で賞賛するまでもなく素のままで現れている。

詩人は青年の存在を表現するのが自分の筆力を超えていて、詩の限界を延々と述べることによって青年を称賛している。