ああ、私の詩の女神が産み出すものはなんと貧しいことか、
腕前を誇示するのに絶好の機会だというのに、
その対象は素のままの方が
私が余分な称賛を加えるより価値があるとは。
これ以上書けないとしても私を責めないでほしい。
君を鏡に映せば、そこに現れる顔は
私が下手に作り上げたものを圧倒し、
私の詩などつまらなく、恥ずかしい思いをさせる。
だから元々よかったものをわざわざ修正して
傷つけるような真似をするのは罪悪ではないか。
私が求めている詩はほかならず
君の美徳と才能を語ること以外にはないのだ。
それに君が鏡をのぞけば、私の詩より
鏡の方がもっともっと君のことを写し出すのだ。
【私の鑑賞】
詩人が詩を書くことをやめた理由を語る詩が続く。
どうして青年のことを詩に書けなくなったのか、その理由は詩人の書く詩より、青年が鏡を見ればそこに映し出された顔は、詩人が称賛を加える詩をはるかに凌ぎ、書くことができなくなる。
青年の美貌と美徳は、わざわざ詩で賞賛するまでもなく素のままで現れている。
詩人は青年の存在を表現するのが自分の筆力を超えていて、詩の限界を延々と述べることによって青年を称賛している。