101 最上なるもの

 

ああ、ものぐさな詩神よ、どうやって償うつもりだ

美で染めあげた真理をないがしろにしていた罪を。

真理も美もともに私の愛する人を頼りにしている

おまえもそうだ、彼あってこそ威厳がつくのだ。

 

詩神よ、答えよ、多分おまえはこう言い訳しないだろうか

「真理は色褪せず、色を加える必要もなければ

美は真理を添えるため、筆を加える必要もない

最上なものは何も混ぜないからこそ最上である」と。

 

彼を称賛する必要がないため、黙っているつもりか

沈黙の言い訳をそのように言う必要はない。おまえには

彼を金箔で飾られた墓よりも長く生かす力があり

来たる世には彼を称賛させるだけの力があるのだから。

 

  だから詩神よ、務めを果たすのだ。おまえにその方法を教えよう

  どうすれば今の彼の姿を後の世まで伝えることができるかを。

 

 

【私の鑑賞】

沈黙した詩神と詩人との対話が続く。

最上なものは美と真理が一体となったものであり、美と真理は詩人が愛する青年に依存しているように、詩神も青年を謳うことで威厳がつくのだという。

美と真理こそ最上であり、それに余分なものを混ぜないことこそ最上であるという。

それゆえ美と真理を備えた青年を賛美する必要がないので、詩神は沈黙しているのかと詩人は問いただす。

かつては美しさを永遠に伝えるために、青年に結婚を勧め、子供を作れと言ってきたが、今は、青年の姿を後の世まで伝える方法は詩を書くことだと詩神を促している。

詩人は自分の筆力が鈍ってきたことを感じ、自らを鼓舞しているようでもあり、自分の詩が後世まで残るということを相変わらず誇っているともとれる。