ああ、君の美点をふさわしく称えるにはどうすればよい、
君は私の優れた部分のすべてなのだから。
自分を自分で褒めたところで何になるというのか、
君を褒めることは、自分を褒めることでしかないというのに。
だから二人は別れて生きることにしよう、
二人の深い愛が一つであるという評判も捨てよう。
そうすればこの別離で私は捧げることができる、
君ひとりが受けるに値する君にふさわしい称賛を。
ああ別離はなんという苦しみとなるだろう、
苦い暇な時間があまい休暇を与えるものであり、
愛の想いで時を過ごすため、
時間と憂鬱を優しく欺いてくれなければ。
別離が一人を二人にするにはどうすればよいか教えてくれる
それは、ここにはいない人をこの詩で称賛すればよいと。
【私の鑑賞】
詩人の心は揺れている。
詩人と青年は愛によって結ばれているので一体であるが、別れなければならない(ソネット36番)と言いつつ、詩人は青年の賛美を続けてきた。
だが、詩人と青年が一体であるとすれば、青年への称賛は自らを褒めることでしかないという矛盾に気づく。
だから詩人は再び言う。二人は別れて別々に生きようと。
別離は詩人に自由な時間を与えるが、孤独な時間と憂鬱な思いに沈む苦い時間でもある。
その寂寥を救うのは、今はここにいない青年を詩の中で称賛すること以外にはない、と別離が教えてくれる。