39 別 離

 

ああ、君の美点をふさわしく称えるにはどうすればよい、

君は私の優れた部分のすべてなのだから。

自分を自分で褒めたところで何になるというのか、

君を褒めることは、自分を褒めることでしかないというのに。

 

だから二人は別れて生きることにしよう、

二人の深い愛が一つであるという評判も捨てよう。

そうすればこの別離で私は捧げることができる、

君ひとりが受けるに値する君にふさわしい称賛を。

 

ああ別離はなんという苦しみとなるだろう、

苦い暇な時間があまい休暇を与えるものであり、

愛の想いで時を過ごすため、

時間と憂鬱を優しく欺いてくれなければ。

 

  別離が一人を二人にするにはどうすればよいか教えてくれる

それは、ここにはいない人をこの詩で称賛すればよいと。

【私の鑑賞】

詩人の心は揺れている。

詩人と青年は愛によって結ばれているので一体であるが、別れなければならない(ソネット36番)と言いつつ、詩人は青年の賛美を続けてきた。

だが、詩人と青年が一体であるとすれば、青年への称賛は自らを褒めることでしかないという矛盾に気づく。

だから詩人は再び言う。二人は別れて別々に生きようと。

別離は詩人に自由な時間を与えるが、孤独な時間と憂鬱な思いに沈む苦い時間でもある。

その寂寥を救うのは、今はここにいない青年を詩の中で称賛すること以外にはない、と別離が教えてくれる。