38 十番目の詩神

 

私の詩神が題材を欠くことなどありえようか、

君という存在が私の詩に注いでくれる

君自身の甘い調べはあまりに美しく、

へぼ詩人には詩にすることもかなわない。

 

ああ、君自身に感謝せよ、私の詩に何か

君の眼に読むに値するものがあるとすれば。

君に対して書けないなどと、どうして黙っておれよう、

君自身が創造の光を与えてくれているというのに。

 

君は十番目の詩神となり、その値打ちは十倍以上ある、

並みの詩人が呼びかける昔ながらの九人の詩神に較べれば。

君を訪れる者に産み出させるがよい、

とこしえに生きながらえる永遠の詩を。

私のとるに足りない詩がこの気難しい時代を楽しませるとすれば、

  作る苦労は私が負い、受ける称賛は君のものである。

 

 

【私の鑑賞】

並みの詩人は、昔ながらのミューズに頼って詩を書くが、私にとっては、君自身が私のミューズだ。

君が注いでくれる甘い調べは美しすぎて、へぼ詩人には詩にすることすらかなわない。

私の書いた詩が読むに値するとすれば、それはすべて君のおかげである。

君という存在が私に創造の光を与えてくれた賜物である。

だからこの気難しい世の中で、私の詩が少しでも人を楽しませることができるとしたら、作る苦労は私がするが、その称賛は君が受けるものである。