37 愛の接ぎ木

 

年老いた父親の楽しみが

元気なわが子のあどけない仕草を見ることであるように、

私は、運命の手ひどい悪意に痛められながらも、

君の人柄と誠実さに慰めを得る。

 

美貌や家柄、富や知性、

あるいはそのいくつか、または全部、いやそれ以上のものが

君の資質の中に君臨していようとも、

私はその幹に私の愛を接ぎ木する。

 

そうすれば私は足萎えでも貧しい者でもなく、蔑まされることもない。

この想像力が産み出す実体で

私は君の豊かさの中に満ち足り、

君の栄誉の恩恵に預かって生きることになる。

 

  最高のものが何であれ、私は君に最高のものを望む。

  この望みを抱くことで、私は十倍の幸せを得る。

 

 

【私の鑑賞】

たとえ運命に見捨てられていても、年老いた親が、わが子の元気であどけない仕草見れば心を慰められるように、私も君の人柄と誠実さで心の慰めを得ることができる。

君は、美しく、生まれも高貴で、財産もあり、知性に優れ、いずれの点においても、人より優れている。その君の豊富な資質に私の愛を注ぐことで、私は、逆境からも、貧困からも、人からの軽蔑からも逃れることができる。

私は想像力によって、君の持っている栄誉の恩恵にあずかって生きることができる。

私の想像力が実体を産み出すので、君に最高のものを望めば、それがそのまま私の栄誉の実体となり、私はそれを望むだけで十倍もの幸せを得ることになるのだ。