君がやったことを嘆くのはもうよしたまえ、
薔薇には刺があり、澄んだ泉も濁るものだ。
雲と蝕は月と太陽を陰らし、
美しい蕾には毛虫が棲みつくものだ。
すべて人は過ちを犯すもの、私も、この詩の中で、
君の過ちを、譬えを交えて正当化する。
私自身を堕落させ、君の罪をかばっては、
必要以上にその罪を許している。
君の肉欲の罪を弁護するのに私は理性に訴える。
(君の敵対者は君の弁護人でもあるのだ)
私自身に対しての訴訟を開始し、
愛と憎しみの間に内乱が発生する。
そこで私は共犯者とならざるをえない、
私から残酷に奪う美しい盗人に対して。
【わたしの鑑賞】
詩人の中で矛盾する気持が葛藤している。
彼が犯した自分に対する裏切り行為は許し難いが、彼の嘆く姿を見るとそれを責める気持ちも凋んでしまう。
美しい薔薇には刺はつきものであり、太陽や月も陰るものだと、彼の行為を比喩で許してしまうだけでなく、正当化してしまう。
今や、詩人の心の中は、彼の罪に対しての憎しみと、彼を思う愛の心が内乱状態にある。
だが、彼を弁護する気持が勝って、詩人は結果的に従犯者とならざるを得ない。