34 傷は癒えても心の傷は

 

素晴らしい天気を約束し

外套も持たせずに私を送り出しながら、

私の行く道を卑しい雲で覆い、

君のりっぱな姿を腐った霧で隠すのか?

 

雲間から顔を出すだけでは足りない、

風雨に打たれた私の顔を乾かすには。

そのような膏薬はだれもほめるわけにはいかない、

傷は癒せても心の傷を治せないのだから。

 

君の後悔も私の悲しみを治すことなどできない、

君が後悔しようとも、私は心に傷を負ったまま。

心を傷つけた人が後悔しても救いはわずか、

心に負った深い傷を耐える者にとっては。

 

  ああ、しかしこの涙は君の愛が流す真珠、

  尊く、すべての罪を贖ってくれる。

 

 

【わたしの鑑賞】

君は私を快く送り出してくれた、

それなのに、君はなんてことをしてくれたのだ。

僕の不在をいいことに、

僕を裏切るとは。

いまさら君が後悔しても、

僕の心は癒えない。

だが、きみのその美しく、尊い涙を見れば、

すべての罪も清められるかのようだ。