君の胸はすべての人たちの心を占めいっそう貴重となったが、
それらの人たちは、不在なので、私には死んだと思われる。
君の胸を支配するのは、「愛」であり、すべての愛の特性と、
埋葬されたと思っているそれらの友人たちすべてである。
どれだけ多くの神聖な哀悼の涙を
真情あふれる敬虔な愛が私の目から流したことか。
その涙は死者が受け取る権利であり、亡くなった友人たちは、今はただ、
場所を移して君の中に隠れているとしか思えない。
君は埋葬された愛が生きている墓であり、
そこには私の亡くなった友人たちの記念品が飾られている。
彼らは私が与えたものすべてを君に与えた、
それで多くの人のものであったのものが、今は君ひとりのものとなった。
私が愛した人たちの姿が、君の中に見える、
君は、彼らのすべてであることで、私のすべてを所有している。
【私の鑑賞】
詩人はこれまでにも多くの人たちを愛してきた。しかしひとたび青年と出会ったことで、詩人の愛は青年一人に傾く。
詩人が愛したかつての友人たちは、詩人の愛が青年に移ったことで、死者として比喩される。詩人は、これまで愛した友人の愛の特性の数々のすべてを青年一人に見出す。
亡くなった友人たちは、必ずしも死者と考える必要はなく、むしろ比喩としてとらえる方がよいと思える。
青年は、今や詩人が愛した人のすべてを所有していることで、詩人のすべてとなった。