甘い静寂に包まれた心の法廷に
過ぎ去った追憶を召喚しては、
求めて得られなかった多くのことを悲しみ、
昔の悲哀に貴重な時を浪費する新たな悲しみを重ねては嘆く。
(ふだん流すことのない)涙に目を溺れさせるのは、
果てのない死の闇に隠れたたいせつな友のため、
はるか昔に清算した恋の悲哀を新たにしては泣き、
消え去った多くのものの損失を悲しむ。
過ぎ去った悲しみの数々を嘆き、
重苦しく次から次へと悲しみを数え上げては、
かつて嘆いた哀しみの清算済みの勘定を、
払っていなかったかのように、今また新たに払う。
だが、親愛なる友よ、君のことを思えば、
すべての損失は償われ、悲しみも終わるのだ。
【私の鑑賞】
詩人は静寂の中で、ひとり心の悲しみに沈んでいる。
詩人は、法廷に呼び出され、過ぎ去った悲しみの数々の審問を受けているかのようである。
とっくの昔に清算済みだと思っていた悲しみに、今また新たに悲しみが甦る。
だが、そんな悲しみも青年のことを思えば、詩人の悲しみの原因もすべて償われ、悲しみも消えていくと詩人は謳っているが、詩人の悲しみはむしろ深まっていくように感じられる。その予兆を感じさせる。