幸運からも人々の目からも見放され、
ただ一人我が身の見捨てられた境遇を嘆き、
甲斐なき叫びで耳を貸さぬ天を悩まし、
わが身を返り見ては、自分の運命を呪う、
もっと豊かな望みを持ちたいと願い、
彼の人のように美しく、彼の人のように友人がいて、
この人の学識と、あの人の能力があればと望み、
私が最も誇る才能ですら満足することがない。
こうした思いで自分自身を軽蔑せんばかりであるが、
君のことを思えば、私の心は、
暗い大地から飛び立つ夜明けの揚げヒバリのように、
天国の門で賛美歌を歌いだす。
君の優しい愛を思えばかくも幸せな気分となり、
私の身分を王様とだって取り換えたいとは思わない。
【私の鑑賞】
他人の境遇を羨み他人の才能を羨望してはわが身の不遇を嘆くとき、自分が最も得意とする詩の才能ですら不満でしかない。
そうした思いに駆られるとき、自分自身を軽蔑する思いであるが、青年のことを思い浮かべると、暗く沈んだ心も、夜明けのヒバリのように舞い上がる気分となる。
青年の愛を思えば、王様とだって身分を変えたいとは思わないほどの幸福感を味わうことができる。