24 形は描けても心までは描けない

 

私の眼は画家を演じて、君の端麗な

容姿を私の心の画版に刻みこむ。

私の体は画版を支える画架、

透視画法こそ画家の最高の技術。

 

君は画家を通してその技術を見なければならない、

君の描かれた本当の姿がどこにあるかを見つけるために。

私の心の画廊にはいつもそれが掲げられ、

画廊の窓には君の眼というガラスが嵌められている。

 

今こそ眼が眼のためになした友愛の行為を見よ、

私の眼は君の姿を描き、君の眼は私のために

心の窓となって、そこから太陽が

覗き込み、そこにいる君を見つめて悦ぶ。

 

  だが、眼はその作品を仕上げる技術を欠いている、

  眼は見えるものだけを描き、その心を知らない。

 

 

【私の鑑賞】

私の眼は画家の眼となって、君の容姿端麗な姿を私の心に描く。

その絵は当代最高の技術、透視画法の技法でもって描かれる。

だがそこには透視画法の「だまし絵」としてのからくりがある。

眼は眼に見えるものだけしか描かず、その心までは描いていない。

美しい外見と、見えない心のうち。

その透視画法のからくりに、詩人の不安が読み取れる。