23 せりふを忘れた役者

 

舞台に立った大根役者よろしく

恐怖で自分のせりふを忘れてしまうように、

あるいは、何か恐ろしげなものが、怒りに駆られ、

自分の怒りの激しさに勇気まで挫いてしまうかのように、

 

私は、自分に自信を失くして、

恋の儀式のせりふを言うのをすっかり忘れてしまう、

そして自分自身の恋の激しさで衰弱し、

自分自身の恋の力の重荷に押しつぶされる。

 

ああ、ならば私の台本に雄弁に語らせよ、

語らんとする私の胸の無言の先触れとし、

愛を嘆願し、愛の見返りを求め、

多くの言葉で多くを語る舌よりも雄弁に。

 

  ああ、沈黙の愛が書いたものを読みとってほしい! 

  目で聞くことこそ愛を知るすばらしい知恵。

 

 

【私の鑑賞】

私の愛は、あまりに強く、あまりにも激しいので、

未熟な役者が舞台に上がった時のように、

すっかり自分の台詞を忘れてしまい、

自分の愛の重荷に押しつぶされてしまった。

それならば、私の詩をもって

私の愛の気持を語らせよう。

口に出された言葉より、その詩を読むことで

私の愛を汲みとって欲しい。