貪欲なる時よ、ライオンの爪を鈍らせ、
大地におのれの美しい子をむさぼらせよ。
獰猛なトラの顎からその鋭い牙を抜き取り、
長命のフェニックスをおのが血で燃やせ。
おまえが過ぎゆく時、喜びと悲しみの季節をなし、
お前の好き勝手にするがいい、足早の時よ、
この広い世界と色褪せてゆくすべての美しきものに対して。
しかし最も憎むべき罪をひとつだけおまえに禁じる、
おまえの時間を私の愛する人の美しい額に刻んではならない、
またおまえの古ぼけた筆で彼の額に線を引いてはならない。
おまえが進む道で彼を汚してはならない、
後世の人々に対して美の模範とするために。
だが、老いた「時」よ、おまえがどんな最悪なことをしようと、
私の恋人は私の詩の中で永遠に若いまま生きるだろう。
【私の鑑賞】
「時」は貪欲、すべてを呑み込む。
「時」の手からは、なにものも逃れることはできない。
時の流れの中で、人々は過ぎゆく季節を楽しみ、惜しむ。
しかし、「時」よ、彼にはおまえの手をつけてはならない。
彼を永遠の美の模範として残しておくために。
それでも、「時」よ、おまえが彼に手をつけるというのなら、それもよかろう。
しかし、彼は私の詩の中で永遠の若さを保つだろう。